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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<死なない/生きない

「人生に意味はない。人間には生きる価値がない。すべての人生に。すべての人間が。──そう「気づいて」しまった時、この世のすべてがいったん価値を失い、意味を失ってしまいます。「どうせみんな死ぬんだから、今死んでも、明日死んでも一緒。がんばっても、がんばらなくても一緒。僕が幸せになろうが、幸せにならなかろうが一緒。恋愛だって、犬が交尾するのと一緒」という、こういった場所。この物語の登場人物・毬井は、そういった場所から「死」を見つめていたんじゃないかと思います。それを、青臭い悩みと切り捨ててしまえばそこまでかもしれません。ですが、僕にとってはそれでは済まない問題です。それは、とても根本的な問いかけを含んでいるように思えるからです。
 さて。
 「すべての人生には生きる価値がない」という言葉に対して、私たちはどう答えればいいでしょう?……
 …………
 ……「すべての人生には生きる価値がない」というテーゼを否定したところから生きるのではなく、そのテーゼを肯定し、「すべての人生には生きる価値がない」を出発点として、生きたとしたら? 人生に意味がないこと、それはもしかすると、悲劇ではないのかもしれない。
 僕は、すべての意味や、価値が無くなってしまうような場所から、それを急ごしらえで捏造するのではなくて、その意味の無さと寄り添って、その価値の無さと寄り添って、それでも問い続けるための方法を、細い道筋を、なんとか探そうとして『ロクな死にかた』を書いたつもりです。いや、書いているつもりです。」
(広田淳一「『ロクな死にかた』、再演にあたって。」)
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