「義務──
金銭、宝石類は、すべてこれを所有あるいは受領しないこと。次の所持品のみ許可──最も簡素な衣服(細目は別に定める)、労働に必要な物品、書籍、本人用の食糧。他はすべて貧しい人びとのものとする。
ただ労働のみによって生活の資を得ること。健康を損なうことなく体力がそれに応じられるとき、いかなる労働も避けないこと。職種は、自分で選ぶか、またはこれが不可能なときは、政府の配下にある労働評議会の指示に従うこと。
二日間、生活必需品(細目は地方ごとに定める)を除いては無報酬で労働すること。
節度ある生活。食事は、必要不可欠なものだけにとどめること──たとえば、身体にたいする最低給付として、それはある意味で最高給付でもあるが、パン、水、なつめ椰子の実。極貧の人びとの食事、極貧の人びとの寝床にならうこと。
雇用者にたいする関係は、信頼関係として取扱い、裁判所の仲介は絶対に求めないこと。いったん引受けた仕事は、いかなる事情があっても、重大な健康上の理由により止むをえない場合をのぞき、最後までやり遂げること。
権利──
最高労働時間は六時間、肉体労働の場合は、四ないし五時間までとする。
発病のとき、および就労不能の老齢に達したときは、国立の老人ホーム、病院へ収容。
労働生活を、良心の問題、同朋にたいする信頼の問題としていとなむ権利。
持参した財産を、病院やホーム建設のため、国家に寄付する権利。
当分のあいだ、すくなくとも自家営業者、既婚者、女性は除外。
評議会は、(重要責務)政府との仲介・折衝にあたる。
資本主義的企業においても、〔二語判読不能〕。
援助可能な場所、すなわち荒廃した地方、施療院などで、教師として奉仕できる。
男子五百名を最高限度とする。
一年の見習期間。」
(カフカ「断片──ノートおよびルース・リーフから」)