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Lubricate us with mucus. ──2nd season 飛翔編

   Be fierce as fire is fierce.

( ゚Д゚)<自己肯定は甘え

「天才崇拝の危険と利益。──偉大な、卓越した、生産力の豊かな精神に対する信仰は、今もって尚、そういう精神は超人的な生れのもので、或る種の不思議な能力を具えて居り、それによって余人とはまるで違った風にして彼等の認識を授けられるのだという、あの全然乃至半分宗教的な迷信と、必ずではないが至って度々結びついている。人はよく彼等にはいわば現象の外套の孔をとおして直接世界の本質を覗きこむ眼が具わっているものとして、彼等はこの不思議な透視者の眼によって科学の労苦も厳格もなしに人間と世界についての究極的決定的なことを伝えることができるものと信じている。奇蹟というものに認識の領域でまだ信者がいる限り、恐らく、信者たち自身にとってはそれで一種の利益が生ずるものと認めることができよう、信者たちが偉大な精神たちに絶対に服従することによって自分の精神に成長の時期の間最も良い紀律と修練を加えるからには。これに反して天才とか、その特権や特殊能力とかの迷信が天才の中に根を張る場合、天才自身にとって利益があるかどうかは、少くとも疑問である。いずれにしても、あの周知のローマ皇帝畏怖にせよ、ここで問題になっている天才畏怖にせよ、あの自己に対する畏怖が人間を襲う時、人が当然一つの神にのみささげる生贄の匂いが天才の頭脳にしみこんで、彼の足もとがぐらつき出し、自分を何か超人的なものと思いこみ出す時、それは危険な徴候である。そこから徐々に現われてくる結果といえば、無責任や例外的権利の感情、自分が交際してやるだけでも人に恩恵を施すのだという信仰、彼を他の者と比較しようとか、いわんや彼を低く値ぶみしたり、彼の仕事の失敗したものを明るみにさらしたりしようとかする試みに遭う時の狂気じみたいきりたちなどである。自己批判をやるのをやめてしまうために、遂には彼の羽毛から一本一本と飛羽が脱け落ちる、あの迷信は彼の力の根を掘りおこし、彼の力が遁げ失せてしまった後では彼を恐らく見せかけ者にさえしてしまうであろう。偉大な精神自身にとっては、だから恐らく彼等が自分の力やその由来について正体を見ぬく時、つまりどんな純粋に人間的な種々の特質が彼等の中に流れ集まっているか、どんな幸運な事情がそれに加わって来たかということを理解する時の方が一層有益なのである、それというのは先ず持続的な精力、一つ一つの目標への断乎とした没頭、大きな個人的勇気なのどであり、次に最もすぐれた師、典範、方法を早い時期に提供してくれた教育の幸運である。」
(ニーチェ「芸術家と著作家の魂から」)
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