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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<非人間貴族3

「人間や人類のますます経済的な消費に対して、ますます緊密に絡み合った製造と利益の機械装置に対して、対抗=運動が必要だということを証明する必要性。私はこの対抗=運動を人類の過剰な贅沢の排除として示す。すなわち、この排除において、平均的人間のものとは異なる育成条件と保存条件を持ったより強い種が、より高い類型が、光のもとに出現しなければならない。この人間の類型についての私の概念、私の比喩が、周知のごとく、《超人》という用語である。
 今では完全に予測することができるあの第一の道に、順応化が、平板化が、高度の《中国精神》が、本能の謙虚さが、卑小化における満足感が──人間の一種の水準の停滞が──形成される。地球の経済の全体的管理、いずれそれが不可避的に介在することになろうが、その管理をひとたびわれわれが手中におさめれば、そのとき人類は、その経済に奉仕する機械装置としてみずからの最良の意味を見出すことができるだろう。ますます微細となり、ますます巧妙に《順応した》歯車からなる巨大な装置として、支配し命令するすべての構成員のますます増大する不要分として、極小の力と価値の総体として。こうした矮小化とは反対に、細分化された有用性への人間のこうした順応化とは反対に、逆の運動が、すなわち、総合し全体化し正当化する人間の創造が必要となるが、人類のそうした機械化は、この人間がおのれの高次の存在様態をその上に創出することができる土台として、この人間の存在の前提条件なのである……。
 この人間にとって、それだけにいっそう、大多数の《平均化された者たち》の敵対が、そしてその者たちに対する距離の感情が必要である。この人間は、彼らの上に位置し、彼らを糧にして生きている。貴族主義のこの高次の形態は、未来の形態である。──道徳的に言えば、その全体的機械装置、すべての歯車の連帯組織は、人間の搾取における極大を示す。しかし、その機械装置は、そうした搾取が彼らのためにこそ意味を持つような、そのような者たちを前提としているのである。さもなければ、その機械装置は、事実上、人間の類型価値下落──最大規模の退行現象でしかありえないだろう。
 私が攻撃するのが、あたかも万人の出費が増大するにつれて万人の利益もまた必然的に増大するはずだと考えるような経済的楽観主義であることが、おわかりだろう。われわれの考えるケースはその反対になると、私には思われる。すなわち、万人の出費の決算は完全な赤字に終わる。人間は、価値下落する。だから、この巨大なプロセスがこれまで何のために役に立ちえたのかということすらも、もはやわからなくなるのである。何のために。新たなる「何のために」──これこそが、人類に必要なものなのである……。」
(ニーチェ『遺稿(一八八七年)』)
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