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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<角を矯めて牛を活かそう

「転向は、抵抗のないところにおこる現象である。つまり、自己自身であろうとする欲求の欠如からおこる。自己を固執するものは、方向を変えることができない。わが道を歩くしかない。しかし、歩くことは自己が変ることである。自己を固執することで自己は変る。(変らないものは自己でない。)私は私であって私でない。もし私がたんなる私であるなら、それは私であることですらないだろう。私が私であるためには、私は私以外のものにならなければならぬ時機というものは、かならずあるだろう。それは古いものが新しくなる時機でもあるし、反キリスト者がキリスト者になる時機でもあるだろう。それが個人にあらわれれば回心であり、歴史にあらわれれば革命である。
 回心は、見かけは転向に似ているが、方向は逆である。転向が外へ向う動きなら、回心は内へ向う動きである。回心は自己を保持することによってあらわれ、転向は自己を放棄することからおこる。回心は抵抗に媒介され、転向は無媒介である。回心がおこる場所には転向はおこらず、転向がおこる場所には回心はおこらない。転向の法則が支配する文化と、回心の法則が支配する文化とは、構造的にちがうものだ。」
(竹内好「中国の近代と日本の近代」)
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