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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<恋の気配

「「恋愛によって、人間は成長もするし、りこうにもなる。」
「そうだね。恋愛によって、自己が発見できるからね。自分というものがわかってくるし、ふだんねむっている理知が、恋愛によってめざめてくるよ。だから、恋人たちは才能がある、なんていわれるんだ。」
「恋をして理性を失ってしまう、盲目的になるともいえるでしょう。」
「そりゃ恋愛というものは、けっして合理的なものじゃないし、一種の冒険だし、排他的だし、世間からみれば、きちがいじみたところもあるだろうし、また道徳的なことじゃないからね。第三者からみたら、おろかしい、危険なこともあるから、そんなふうにもいわれるんだよ。それにだいたい、恋愛を感じるのは、男でも女でも、相手のおろかさにひかれるものだ。」
「女性は、相手のすばらしい才能や技術などに対する尊敬から、恋愛になることもあると思うけど。」
「そりゃ最初は、いろんなことがきっかけになるさ。才能や技術でなくたって、男まえがいいとか、しんせつにしてくれたとか。しかし、それからだんだんに深くなっていくには、人間的なものにひかれる、ということがあるんだよ。女だって、男自身にはわからないような男のおろかさにひかれる、ということも多いんじゃないかな。だからね、男が、女のおろかさ、なんていうと、すぐ、男尊女卑的習慣のなごりだっていわれそうだが、そんな浅薄な解釈じゃないんだよ。おたがいさまなんだよ。」」
(高見沢潤子『兄小林秀雄との対話』)
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