「自尊心を傷つけられた作家をとらえる憤激、嘲笑の毒矢に刺されたと感じたときに彼らのうちに満ちあふれるエネルギー、これはいかなる表現、いかなる描写によっても言い表し得ないものだ。しかし攻撃を浴びることでエネルギーや抵抗力が刺激されるような作家は、見る見るうちに沈んでいく。中傷記事などすっかり忘れ去ってしまうような境地でテーマを練る心穏やかな人たちこそが、文学者として真の勇気を発揮するのである。一見したところ弱い連中の方が強く見えるのだが、彼らの抵抗は一時的なものにすぎない。」
(バルザック『幻滅』)