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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<アドルノなんてララーラーララララーラー

「この戦争が終れば生活はまた元の「正常さ」に戻るとか、まして──文化の復興などというのはそれだけですでに文化の否定であるのに──戦後にまた文化が復興されるであろうと考えるのは、たわけもいいところである。何百万というユダヤ人が殺害されたのであり、しかもこれは幕間劇のようなもので、カタストローフそのものは別にあるときている。この文化はこのうえ一体何を待ち設けるというのであろう? かりに無数の人びとにまだ待ち時間が残されているにしても、ヨーロッパで起ったことになんの結果も伴わないなどということは考えられないのであって、犠牲者の莫大量は必ず社会全体の新しい質としての野蛮に転化せずにはすまないであろう。この調子で間断なく事態が進展するかぎり、カタストローフの恒久化は避けられまい。殺害された人びとのための復讐という一事を考えてみるだけでよい。それと同数の人間が今度は別の人間の手で殺されるということになれば、殺戮が制度化し、辺鄙な山岳地方などを除けば遠い昔になくなったはずの資本主義以前の血の復讐の方式が大々的に復活し、主体を失った主体ともいうべき各国民が総力を挙げてこれに加わることになるだろう。逆に死者のための報復が行われず、犯罪者たちに恩赦が施されることになれば、罰を免れたファシズムは何やかや言っても結局勝利を収めたことになり、いかに容易に事が行われるかという先例をファシズムが作ったあとでは同じ事が別の場所で引き続き行われることになるであろう。歴史の論理はその張本人たる人間と同じように破壊的である。その重力の赴くところ、歴史は過去の不幸と同等のものを再生産するのだ。死が常態となるのである。」
(アドルノ『ミニマ・モラリア 第一部』)
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