「一個の偉大な物語作家は、何よりもまず、未知の、あるいは〔一般には〕誤解されているようないくつかの情動[affect]を考案する芸術家なのであって、彼は、それら情動を、おのれの人物たちの生成として明瞭に描写するのである。……プルーストが嫉妬をたいへん細かく描写しているように見えるとき、彼が考案しているのは実はひとつの情動なのである。というのも、彼はオピニオン〔=一般的見解〕が感情について前提としている秩序を、すなわちそれに従えば嫉妬は愛情の不幸な帰結になるであろう秩序を、絶えずひっくり返そうとしているからである。嫉妬は、プルーストにとっては反対に、目的因、目的地であり、愛する必要があるのは、嫉妬することができるためなのである。」
(ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『哲学とは何か』)