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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<愛することを学ぶ3

「人を好きになったら、どうしようもない。たとえば、その人がいつも笑顔であることを願うのでもいい。自分だけの地下室に閉じ込めて表情を失っていくのを眺めて所有欲に耽るのでもいい。天使みたいに崇めて、憧れて、届かないものだからこそ美しいと勝手に定義してもいい。どんな身勝手な感情でもいい。人を好きになったら、どうしようもない。
 そして、好きになったその感情の強さだけ、見返りが欲しい。君の笑顔は僕だけのもの。君の存在すべてが僕だけのもの。とにかく「君」はそこに実在してくれて「僕」に満足を与えてくれる何者かでなければならない。うん。二次元もいいだろう。だったら、その実在を圧倒的な強度で信じきれなければならない。
 好きになったら、満たされたい。これは、絶対の真実だ。
 そして選択肢は少ない。そもそも好きにならないか、好きになっても諦めるか、あがくか。いったん生じてしまった気持ちは、消せない。承認なんとかでも、性愛でもなんでもいい。言葉は、すべて後から来る。言葉に先んじる、この絶対の気持ちがなければ、それはきっと、嘘だ。
 モテたいといい、好きになられたいという。それは欲望だ。この世でもっとも邪悪な欲望のひとつだ。手に入れたい。自分だけを見てほしい。君の笑顔は僕だけのもの。君の泣き顔も僕だけのもの。君のすべてが僕だけのもの。究極的に、ここに結びつかない恋愛感情があるなんて、俺には信じられない。もし結びつかないのなら、それは挫折した欲望だ(それに価値があるかないかはまったく別の問題)。
 こうして俺は、世にある恋愛に関する言説のほとんどすべてが理解できない。
 けれど、何度でも俺は言うだろう。好きになること、は、欲望だ。満たされるまで泣きやむことを知らない、聞き分けのない子供のような欲望だ。達成されるまで満足することを知らない邪悪な欲望だ。もっとも高貴で、純粋な瞬間すらも、それはやっぱり欲望で、その欲望を、わが身に引き受けたものだけが、欲望を満たしうる可能性をもつ。いっさいのごまかしは効かない。」
(G.A.W.「邪悪な欲望」)
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