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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<静かに冷ややかに

「読み終わると、詩人は批評家の顔を見つめた。エチエンヌ・ルストーは苗床の若木を眺めている。
「どうでしょう?」とリュシアン。
「どうって、まあ続けたまえ。ちゃんと聞いてるから。パリでは何も言わずに聞いているというのは、ほめ言葉に等しいんですよ」
「もう充分では?」
「続けたまえ」、ジャーナリストはそっけなく言った。
 リュシアンは次の詩を読んだが、すっかり意気消沈していた。ルストーの不可解な冷静さのせいで、朗読の調子が出ないのである。文壇に精通している人間ならわかっただろうが、ものを書く人間がこういう状況で沈黙したり、つっけんどんな態度を取ったりするのは、傑作を前にして嫉妬している証拠なのである。逆にほめ言葉は、凡作に接して自尊心が安心し、嬉しい気分になるから出てくるものなのだ。」
(バルザック『幻滅』)
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