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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<ユーモアの条件

「戦争期において、それが人間の心に強いる高度の緊張のために、平素はあらわれることのない人間と社会、歴史と伝統の存在の深い断面があらわになることは珍しいことではない。しかし、それに「酔つたやうな、ひそかにそれを誇つてゐるやうな」意識におち入ることは、伊東〔静雄〕のきびしく拒絶するところであった。彼の学校に配属された一軍人の「変質、居丈高、愚昧、そしてひがみ」に対する辛辣な批評にみられるように、現実と自意識の間の鋭い緊張はたえまなく伊東の心を傷つけていた。すべての自己陶酔、自己欺瞞から伊東はもっとも遠い地点にいた。彼の詩文の端正さのかげに、しばしば清冽なユーモアが浮び上るのはそのためであろう(一般に、イロニイを方法とするロマンティクにかえってユーモアが欠けていることをカール・シュミットは指摘しているが、保田〔與重郎〕の文章にもポーズはあるがユーモアはない。その意味でも伊東は資質的にロマン主義者とはことなるように思われる)。」
(橋川文三「日本ロマン派と戦争」)
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