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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<Re: Re: 奇怪なréalisme3(冷血のユーモア2)

「ここでもまた、いわゆるカフカの幻想性は、彼がリアリスティックな正確さを最大限引き出すための道具にすぎない。いいかえれば、彼のさまざまな変身は、異常な臨床的な勘によって把握されたある特定の心的過程の極端な結果を、目に見えるように再生させているだけのことである。……この点で注意しなければならないのは、夢から借りる二つのテクニックを、カフカがどこでも同じように用いているのではないということである。分身化はとりわけ長篇小説のなかで活動しているが、雑種の方はもっぱら短篇小説のなかに現われるのであり、このことは、これらのジャンルのそれぞれの特性から説明されるのであって、短篇物語は、変身があたりまえという寓話や伝説からかんたんに生れるのに対し、もっと合理的で、より長時間継続するジャンルである長篇小説では、変身をいつまでもひきのばして見せることが許されないのだ。あらゆるところでそうであるが、ここでもまた話者は、ありえそうにない事柄をさもふつうの事実確認の調子で語るのであり、彼が語るうえで必要とするのは、無関係な傍観者の冷たい無関心だけである(ちなみに、この結果、語られる内容に内在する恐ろしさとは対照的に、ユーモアならぬ真にコミカルな効果が生れる)。せいぜいのところ、時たま起ることは、彼の中立性の足もとにメランコリーの影がさすことである、プロメテウスの物語のように、あるいはより顕著なかたちでは、奇怪な交配のはてに、この世に創造されたすべての動物から孤立した、あの名なしの動物の物語のように。」
(マルト・ロベール『カフカのように孤独に』)
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