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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<自然描写の異常進化

「ショックと多発外傷がある場合、大血管損傷を診断するのは難しい。一方、血管損傷のサインは明白なケースもあり、その場合は下記の「確実なサイン」を示す。
・活動性の出血
・大きく、増大する血腫
・雑音や振動を認める拍動性血腫(仮性動脈瘤)
・「機械的な」雑音(動静脈瘻)
・急性抹消虚血の所見、特に蘇生後の脈拍の消失
 発射体の弾道が主要抹消血管付近を通過した症例で、上記の所見をひとつでも認めた場合には試験開創術を必要とする。
 抹消の急性虚血の所見は曖昧なことがあり、脈拍に問題がないからといって血管損傷の可能性を除外できない。というのは側副血行路が抹消の脈拍を保つことがあるからである。特に〔発射体による〕空洞効果の後は、内膜の断裂と血栓症が遅れて発症することがある。冷たく、脈拍が消失し、皮膚の色調がまだらでチアノーゼになった四肢という所見は、患者が寒冷環境下にいた場合や、クラッシュ外傷、その他様々な原因によるショックでも起こり得る。しかし蘇生後の患者での抹消の脈拍消失は動脈損傷の「確実な所見」と考えられる。末梢循環の臨床的尺度は、外傷を負った四肢と負っていない四肢を比較することで判断する。非対称的な脈拍、毛細血管灌流、皮膚温などはすべて末梢循環不全を示唆する。
 もし発射体の弾道が主要血管の近くで、「確実な所見」が見られないか、虚血の所見が不完全であれば、まずは外科的治療ではなく、経過観察を選択し、以下の「疑い所見」を確認する。
・小さく、安定している、拍動のない血腫
・隣接した神経の運動・知覚の低下
・他の外傷で説明できないショック
・すでに止まっている出血
 明らかに血管損傷をもった患者は遅滞なく、すぐに手術室へ運ぶべきである。動脈修復はもはや適応外という制限時間はないものの、最善の結果は受傷後6時間以内に血行再建された時に得られる。良好な側副血行路の存在は動脈修復の成功率や血管結紮の結果を左右する。ショックの存在は状況を複雑化させる因子である。他の重要な因子は深刻な組織損傷で、これがあると外科医は動脈修復し四肢を温存するよりも、切断する決断を下すことが多い。
 いくらか側副血行路があるがコンパーメント症候群が進行している部分的虚血症例を、完全な虚血症例と識別するのは非常に困難である。不可逆的虚血性筋肉と神経損傷の臨床的評価は、だいぶ時間が経過してしまった場合を除いては、通常は不可能である。したがって、はっきりしない症例であっても、まずは第一に筋肉の生存能力を評価するために筋膜切開を行うべきである。筋肉の生存能力は色調・手触り、つまんだり電気メスで刺激を与えたりすることによって収縮するかどうかで判断する。もし筋肉が生存しているのであれば血管修復を行う。
 最も困難な状況は膝から下である。もし前外側コンパーメントの筋肉のみが壊死に陥っていると判明した場合、デブリドマンと血管修復を行う。もし2つ以上の筋区画が壊死に陥っている場合は切断を行わなければいけない。」
(『武力紛争やその他の暴力を伴う事態における資源が制限された中での医療支援 vol.2』)
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