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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<あまりに自己批評的な3

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( ゚Д゚)<あまりに自己批評的な3

「ぼくがものを書くときにいだく、何かまちがっているという感じは、こんな比喩で表現されよう──地面に開いた二つの穴の前で、右側の穴からしか出てこない一つの現象を待っているとする。ところが、まさにこの右の穴にはぼんやりとしか見えないが蓋がされている。一方、左の穴からは現象が一つまた一つと現われて、注目を引こうとし、結局どんどん勢力範囲を増大することによってこの目的を達してしまう。その範囲の広さは、いくら防いでも正しい方の穴までふさいでしまうほどだ。さてしかし、ぼくがこの場所を立ち去るつもりがないなら──そのつもりはまったくないのだが──今現われてきた現象を頼りにせざるをえない。しかしこれらの現象は一時的な活力しかもたないので──その力は、ただ出現することだけで使い果たされてしまう──ぼくを満足させることはできない。しかし、それらの現象が弱まって滞ってくると、ぼくはほかの現象をふたたび出現させたい一心で、上の方、またあらゆる方向へそれらを追い散らすのだ。というのも、一つだけの現象をいつまでも眺めていることは耐えがたいし、まちがった現象が尽きたあと、ようやく本物の現象が立ち上がってくるだろうという期待がやはりあるからだ。
 以上はなんと迫力のない比喩であろう。実際の感じと比喩による描写との間には、つながりのない前提が一枚の板のように差しこまれている。」
(フランツ・カフカ『日記(一九一一年)』)
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