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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<自然描写の異常進化2

「「b.萎縮死体検屍解剖。相当程度の腐敗現象を伴う、熱により萎縮した死体が解剖に処せられた。当該萎縮死体はメスと鋏による部検まったく不可能。最初に衣服を除去するも、著しい硬直のため、衣服を裁断ないし裂開、加えて身体を一部損壊せざるを得ない場合がほとんど。関節の乾燥如何により頭部および四肢(収容時ならびに運搬時に胴体からまだ離れていなかった場合)はかなり容易に切断。外皮破裂により体腔がすでに露出していないかぎりは、骨鋏ないし鋸を使用して硬化した皮膚を切除。臓器は硬化と萎縮のためメスが入らなかった。また肺およびこれに接続する気管・大動脈・頸動脈および横隔膜、肝臓、腎臓ほか個々の臓器は多くの場合そっくり折り取って摘出。腐敗の進行した臓器ないし炎熱により完全に硬化した臓器は、ほぼすべてメスによる切断不可能。腐敗ないしチーズ状・粘土状・油脂状・黒焼けになった組織や臓器残余物は損壊し、千切れ、粉々になり、あるいは毟ってぼろぼろになった」。火炎旋風によってミイラ化した肉体をいま一度破壊するこの専門家の描写には、〔アルノー・〕シュミットの言語的ラディカリズムがあずかり知らないリアリティがある。」
(W・G・ゼーバルト『空襲と文学』)
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