「鈴木「世間でも現場でも──
今は落ちこぼれや問題児がいかに傷ついているか
──そこに意識を割くことに傾いている…
まだ足りない まだ足りないと──
それはそれで事実だが…
だけど今の学校教育は
我々が普段思っている以上に──
手のかからない子供の心の磨耗の上に
支えられているんだ…」
…………
鈴木「今や学校では絶対的に──
どんな生徒に対しても手が足りていない
というのが現状だけど…
そんな中で
目立つ問題児に10の力を割きたいところを…
一見差し迫った問題に直面していない生徒らにも
せめて5くらい割いてやるべきだと思うんだ
それは何も手のかからない子が二の次にされてかわいそう
っていう平等論だけの話じゃない…
そうした方が結果的には──
問題児も含めて学校を良い方向に改善できるという狙いもある」
…………
鈴木「不良や落ちこぼれと呼ばれる者たちの
荒れる原因の一つとして
優等生やいい子への恨みや憎しみがあるのと全く同じに──
順調に見える生徒にも
問題児らに対しての妬みや口惜しさがあって
それらが彼らの持つ思いやりの心をスポイルしている…
そう考えた方が自然な気がするんだ」」
(武富健治『鈴木先生 第5巻』)