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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<Re: 安全黙示録

「ハイデガーは引き出された死の欲動を次のように定式化した。「先駆は現存在に世間的=自己への自己喪失を暴露し、現存在を引きだして、第一義的には配慮的待遇に支持を求めることなく自己自身として存在することの可能性へ臨ませるが、その自己とは、世間のもろもろの幻想から解かれた、情熱的な、事実的な、おのれ自身を確承せる、不安にさらされている《死へ臨む自由》における自己なのである」(『存在と時間』)。ハイデガーは「《死へ臨む自由》」こそが、自己喪失しがちな人間を、真に自己自身たらしめるのだと説く。世間的な「配慮的待遇」を拒絶せよ、自己自身であれ、情熱的であれと述べるこの認識は、現実においてハイデガー自身のナチス突撃隊へのコミットに帰結した。それを愚行と裁くのは簡単だが、そう裁断するとき、人は自らの個体性において彼を批判し得ているか。自己を問わずに済む安心の場所から、無自覚に共同体の価値観に寄りかかって野合的に口を揃えているだけではないか。」
(大澤信亮「柄谷行人論」)
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