「外から見れば、成熟しているけれどもまだ年の若い人間が、死ぬ、或いは自殺までするのは恐ろしいことだ。そういう死は、将来の進展において初めて意味を持つかもしれない全面的な混乱のなかで、この世を立ち去ることである──希望を失って、或いは、このような人生は大局的な計算からはなかったものと見なされるだろうという、唯一の希望を抱いて。ぼくは今そういう状態にいるのかもしれない。死ぬということは、一つの無を別の無に引き渡すこと以外の何ものをも意味しないだろうが、しかし、これは感情にとっては納得しがたいことだ。というのも、どうして自分を、ただの無としてにせよ、意識的に別な無へ引き渡すことができようか。それも一つの〈空虚な無〉に対してだけでなく、その無の無たる所以がその理解しがたさのみにある〈沸騰する無〉に対しても、どうして意識的に自分を引き渡すことができようか。」
（カフカ『夢・アフォリズム・詩』）
