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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<Re: 人の間

「おそらくそれは神学のちがいなのでしょう。というか、むしろ、感性に深くしみこんだ神学のつくりだすちがいなのでしょう。カトリック的考えでは、不完全な存在、ただの人間にすぎない存在、さらに偽善的な存在さえ、恩寵は媒介として使うことができるし、使うものであるとします。恩寵から自分自身を切断するのは決定的なことで、ほんものの選択行為、意志的行為であり、魂の基盤に影響を与えます。〈はみ出しもの〉は、おばあちゃんが彼を自分の子供と認めたとき、彼女を通して恩寵に触れます。同時におばあちゃんは彼の特殊な苦しみを通して恩寵に触れます。〈はみ出しもの〉がおばあちゃんを撃つのは反動で、彼女の人間性への恐怖です。でも、撃って眼鏡を拭き終わると、恩寵は彼の中に作用していて、〈はみ出しもの〉は自分の判断を発言します。一生のうち、一分ごとに撃ってやる人がいたら、この人も善人になっていたろうよ、と。まことにもっともです。プロテスタントの見方では、恩寵と自然は互いに関係することはあまりありません。そういう見方からすればこのおばあちゃんは、彼女の偽善性と人間性と陳腐さからして、恩寵の媒介者にはなり得ない。私はそれと逆の見方をしますから、その意味で、私はカトリック作家です。」
(フラナリー・オコナー『存在することの習慣』)
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