忍者ブログ

Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<ビッグ・ディファレンス(≒性差)

浅田 平林初之輔は、マルクス主義陣営では相対的に優秀な人だと思うんです。『第四階級の文学』でも、どの階級にも属さず「人類の文化」を普遍的に代表する知識人なんてものはないと明快に述べている。けれども、だからこそプロレタリア階級と共に歩もうと言ってしまうところで、最後にリプレゼンテーションの図式にとらわれてしまう。それを全部切っちゃったという意味では、ブルジョワ的であろうが何であろうが、有島がいちばんラディカルだったと言えるでしょう。
 そのあとで、おそらくそれを意識して、芥川龍之介が『文芸的な、余りに文芸的な』を書いた時に、もちろんわれわれは階級によって規定されているけれども、そのほか地理的にも遺伝的にもあらゆるレベルで規定されていると言う。しかし、そういうふうに、すべてによって規定されていると言ってしまうと、逆にすべて相対化されて主観化できるようになるわけですよ。有島武郎は、そんなことじゃなくて、ブルジョワジーとプロレタリアート、白人と黒人というようなビッグ・ディファレンスがあって、それは還元できないということを言っている。」
(浅田彰×柄谷行人×野口武彦×蓮實重彦×三浦雅士「大正批評の諸問題 1910-1923」)
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

プロフィール

HN:
trounoir
性別:
非公開

P R