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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<百年ぶりの夏

「詩句の闘いのアンソロジー、よく晴れた。
 舟の闘いは水面を失い、暗礁。
 涸れた水の通路を行けば霧を吐いている都市。
 稲妻が指に生まれて、
 地上の夏を横断歩道で迎えいれる。
 首に死者の汗を流して、ひとりで渡る。
 俺に殺意はない。
 真昼にも
 流星はあるだろう。
 はやく花火 いつ花火 あげるの
 電話ボックスで子供が呼ぶ。
 母さん死んだ 父さん いない
 姉さん死んだ 妹 生まれなかった
 血は流れ出る傷を探している。
 存在から覚めた夢をすこしの紙幣にかえて
 ひとりで砂漠の駅を発った。
 街では群衆の陽炎がのどを涸らしている。
 俺にはこの時代の夕立ちの降るのはよくわかる。
 それはまだ先のことだ。
 次の駅も砂漠 次の詩句も砂漠
 はやく花火 いつ花火 あげるの。
 俺は戦中をよろこぶ。
 闘いのさなか、
 形式は反動の階級に属している。」
(稲川方人『現代詩文庫99 稲川方人詩集』)
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