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Lubricate us with mucus. ──2nd season 飛翔編

   Be fierce as fire is fierce.

( ゚Д゚)<anti-hedonism

春樹 ぼくは龍さんの小説を読んでて、村上龍というのは非常に才能があるし、ぼくはすごい小説家と思うわけ。ただあなたの亜流みたいなのが、出てくると、それはすごく危険じゃないかなという気がするんですね。村上龍氏の使った方法論とか感覚を、もっとさ、キャパシティの少ない人が使ったらということですよ。さっきも言ったけど龍さんの場合は普遍的な領域につっこんだ部分があるのね。たとえばぼくなんかそういう部分での共通項は少ないんじゃないかと思うんだけど、それでもひしひしというかあたまがグラッとするくらい感じるんですよ。これはおそろしい才能だと思いますよ。ところがそうじゃない人がそんな小説をみんなで試みはじめたらどうなるのかなという気がものすごくするのね。たとえば生理的バイブレーションというのはさ、出口があるのだろうかという気がするわけ。だから村上龍氏はそういうのをさ、書き続けて、もっともっとつき進むべきだと思うわけ。ただそれを表相的にとらえたら、文学に、小説にさ、行く先は、あるのかなっていう気がするのね。ズボンの脱ぎっこに終っちゃうんじゃないかって。それがね、読んでて不安といえば不安だったのね。この小説はすばらしい、だけどそれは村上龍という個人の資質の問題であってね、一般的に小説というものを考えた場合、こわいんじゃないかなという気がしたのね。生理的バイブレーションというのは、基準はないわけでしょう。感じる人は感じるし、感じない人は感じない。感性と同じなのね。そういうところでいろんな人がいろんなものを要求しはじめたらさ、規範というのはないんじゃないかなという気がした。で、ぼくは、またこれは卑屈なことをいうようだけど、村上龍氏ほどのパワーもないと思うわけ、自分では。だから何とかその規範というものを見つけたいと思うわけ。それはわかりますか。
 わかります。」
(村上龍+村上春樹『ウォーク・ドント・ラン』)
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