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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<反地下

「──RT @ikkizunoppa: 「日本語の古語では「ひら」は急斜面の地形のことである。当時はこう書いて「フィラ」と両唇音で発音したのだという。アイヌ語の「ピラ」とまるで似ていて面白い。東北地方の北部の山中では、今でもその古語が残っていて、山の急斜面を「ひら」といい、それをフィラと発音している。」山田秀三さん
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>RT 「フィラ」より古いのが「ピラ」。奈良時代頃。沖縄では八重山に両方残っている。九州でも「ヒラ」はあるね。
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たしかにアイヌ語では「ピラ」を急な斜面という意味でいうようだ。この「ピラ」は、もともとは「上り坂」を意味したのではないかというのが私の考え。古代では「上り坂」と「下り坂」を区別していたのではないか。
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実は、沖縄では「上り坂」を「ヒラ」といい、「下り坂」を「サカ」というーのは、歴史好きなら割と知っている話。たしか角川日本地名大辞典の沖縄巻にも載っている。だがいまいち根拠がはっきりしないので、先日ある教授と議論になった。
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その教授(近世史)は、平凡社の沖縄古語辞典では『おもろさうし』の用例を引いて「さくひら」を急な斜面としているから、サカ(サク)にもヒラにも上がり下りという区別はなかっただろうという。そうだろうか。サクという語がつく地名は沖縄に多いが、多くが窪地、谷状の地形である。
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坂はどこに基準の視点を置くかで上りにも下りにもなる訳だが、サクという語を含んだ地名が窪地や谷であることが多いのは、サク(サカ)の斜面が下に向かっていること、すなわち「下り坂」を意味することを示しているのではないだろうか。
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ではヒラはというと、首里三平等が有名だ。平等と書いてヒラと読む。これらは首里城を囲む斜面にある地域を指しているが、下から首里城を仰ぎ見て、つまり「上り坂」についてヒラと付けているわけだ。
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これと似たパターンが西表島のカンピレーではないか。観光名所としても有名な滝のある斜面だが、カンは神、ピレーはヒラ、すなわち神の宿る上り坂、海から島へ寄り来る神が宿る高台である。首里近辺ではP音はF音を経てH音に変化するが、西表にはP音がいまだに残っている。
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離島を精査したわけではないが、個人的に聞き取りで気づいた範囲では久米島の古老はかつてはフィラ=上り坂、サカ=下り坂を区別していたと語っていた。いまやほとんど俗説としていわれる沖縄のヒラ=上り坂/サカ=下り坂という区分は、かつては明確に残っていたのではないか。
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ところが、日本語のいわゆる辞書、あるいは古語辞典を見ても、「ヒラ」が上代では斜面を意味していたと記すものはけして多くない。嘆かわしいことに平ら、平たいという意味しか載せていないものが半数以上ではないか……。
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梁井 朗@北海道美術ネット別館@akira_yanai
よもつひらさかという語を思い出しますね RT @unspiritualized 個人的に聞き取りで気づいた範囲では久米島の古老はかつてはフィラ=上り坂、サカ=下り坂を区別していたと語っていた。いまやほとんど俗説としていわれる沖縄のヒラ=上り坂/サカ=下り坂という区分は、かつては明…
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まさにそれです。実は、斯界ではよもつひらさかの地形を巡ってけっこうな議論になっているんですよ(下り坂か? 上り坂か?)。沖縄に残存する用例もこうした議論に資するかもしれません。@akira_yanai
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梁井 朗@北海道美術ネット別館@akira_yanai
宣長がエライのはちゃんとヒラ=斜面の用例を把握していたところだよね>古事記伝
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そうなんです。ポイントは、黄泉=死の世界というトポスがいつの頃からか【地下】ととらえられている。現代に生きる私たちもそれが当然と思っていないでしょうか。はたして、古代はどうだったのかー。それを解くカギがヒラ/サカにはある!??@akira_yanai
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ちなみに私の考えは神野志隆光先生〔黄泉の国は地下世界ではない、と主張〕に近いかな。
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沖縄の他界観念が水平か垂直かというのは難問で、まさに黄泉のトポロジーにも関わってくる。
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梁井 朗@北海道美術ネット別館@akira_yanai
あっそうか! 黄泉が地下とはいうのは思い込みかもしれないんですね。洋上のイメージだったかもしれないし…。
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さすが鋭い。私は天から降りた一族が現世を支配するーという垂直性の物語と無関係ではないと思っています。輸入された中国思想もからんできますが。@akira_yanai
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久高島や斎場御嶽のガイドをしている方に聞いた話だが、某テレビ局が取材に来たとき、「ニライカナイが海の向こうにあるか、海の底にあるか、二つ説がありますが、どっちにします?」と聞いたところ「うーん、じゃあ、底のほうで」ということになったとか。笑えない……。」
(nos/unspiritualized「Twitter拾遺」)
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