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Lubricate us with mucus. ──2nd season 盈則必虧編

   汝自己のために何の偶像をも彫むべからず

( ゚Д゚)<教師という名のヒューマニズム

「じゃあ、具体的に何をやったらいいんだと良く聞かれるのですが、そんな巧い回答があったら苦労はしないといつも答えておりますけれど、それには理由があるのです。さしあたりぼくは、非常勤とはいえ大学の側に立っているわけでして、いかに口ではアンチ・ヒューマニズムを言っているにしても、学生に対してはヒューマンに接さざるをえないわけですね。今日のこのシンポジウムに出席しているのも、ぼくのヒューマニズムの表現であるかもしれません。もちろん、そのことにぼくは悩んでおりますが、これはぼく個人の力だけでは如何ともしがない。
 そこで、ぼくは学生運動をやりたいという学生に対しては、「まず、教師と具体的に闘え」と言うことにしております。「何、下らないこと言ってるんですか」から始まってもいい。実際、学生にとっての知の到達すべき「モデル」となったりして尊敬される教師ほどロクでもないものはないわけですね。また、教師の側からしても、そんな対象にされるほど気持ちの悪いことはない。教師などという存在は、学生にとって所詮は使い棄てられるべき「道具」以上のものではありえない。少なくともぼくは、学生と接する場合には、不断にぼくのヒューマニズムが軽蔑されるであろうことに怯えていますし、また、そのことを望んでもいるわけです。そして、そのことこそが学生との間に──ドゥルーズ/ガタリ的な意味で──闘争としての「社交」の場を成立させる契機だと考えています。社交的な政治の場を現出させることによって、六八年革命以来続いている「大学解体」の──反革命的な──プロセスが、革命的なものに転化していく契機も、もしかしたら見出せるのではないでしょうか。
 ……言っておきますが、ぼくは軽蔑されるのはかまいませんが、かといって決して学生の言うことをそのまま肯定することはないと思いますよ。学生の言うことは、しばしば、ぼくなんかよりはるかにヒューマニスティックですからね。」
(スガ秀実「六八年革命における政治と主体──その今日的帰趨」)
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